事業を運用している企業・個人事業主は、緊急性の高い資金調達が求められることがあるでしょう。
銀行から融資を受けられればベストですが、申し込み手続きや審査が厳しく融資までに時間がかかり、必要な時までに間に合わないこともあります。
そんな中、資金をスピーディに調達する手段としてビジネスローンが挙げられます。
本記事では、ビジネスローンの概要からメリットやデメリットなどを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ビジネスローンとは?
ビジネスローンとは、法人経営者および個人事業主が申し込める「事業資金専用のローン商品」を意味します。用途は事業資金に限られており、運転資金や開業資金、設備資金など、事業に関わる部分のみに借りたお金を当てることができます。
また、ビジネスローンは主に銀行、信販会社、消費者金融によって提供されているのが一般的です。取り扱っている金融機関もさまざまですが、三井住友銀行・楽天銀行などの銀行や、オリックス・アイフルなどのノンバンクが主流になります。銀行のビジネスローンには、ほかのビジネスローンと比べて低金利であり、融資限度額も大きいという特徴があります。
一方、信販会社や消費者金融のビジネスローンは、審査期間が短く最短即日で借りられ、銀行よりも比較的審査に通りやすいのが特徴です。
さまざまな特徴を持つビジネスローンですが、借り入れを検討する際は以下の3点に注意しましょう。
- 審査基準
- ビジネスローンの金利相場
- 借入金額の目安
審査基準
ビジネスローンの審査基準では以下の2点が重要視されます。
- 事業状況
- 信用情報
「事業状況」とは、事業規模や事業歴、資産・負債の状況、事業の将来性などを指します。今期の収支や事業計画書で融資金の利用目的、今後の資金計画の妥当性が読み取れるかなどが重要なポイントになってくるのです。また、事業歴は2年以上であるのが望ましいですが、創業1年目から利用できる決算書不要の商品もあります。
「信用情報」とは、代表者や連帯保証人の信用情報のことです。過去に金融事故の履歴がある場合、信用情報に傷があることになるので、審査を通過するのは難しいでしょう。連帯保証人の信用情報に問題がある場合は、連帯保証人を変更すれば、融資を受けられる可能性があります。
ほかにも、本人確認書類や事業計画書などの必要書類に不備がない点も、審査に通るためには重要なポイントです。
ビジネスローンの金利相場
ビジネスローンを提供する会社は数多くありますが、参考として代表的なビジネスローン4選を紹介します。
上記の通り、ビジネスローンの金利は比較的高いことが分かります。ビジネスローンは原則として無担保で融資を受けられますが、貸す側にとって無担保で融資するというリスクがあるため、どうしても金利は高くなってしまうのです。
一方、日本政策金融公庫の中小企業事業は、金利が0.30〜1.55%の間を推移します。
また銀行融資の金利相場は1〜3%、信用金庫からの融資では2〜4%前後であり、ビジネスローンのように、年利が10%を超えることはありません。
そのため、低金利を重視する方はビジネスローンよりも、日本政策金融公庫や銀行からの融資がおすすめです。
借入金額の目安
ビジネスローンの融資限度額には10万円〜1,000万円ほどの幅があり、中には最大1億円借りられる商品もあります。しかし、りそなCollaborare事務局が実施した調査によると、中小企業の場合は100万円以上〜500万円未満を借り入れる企業が多く、個人事業主は50万円以上〜100万円未満でした。
ビジネスローンを検討している方は、上記の金額もひとつの目安にしてみてください。
起業の際に発生する開業資金の内容
事業を始めるには多くの「資金」が必要になります。しかし、その必要額は始める事業の内容によって大きく変動するものです。
一般的に開業資金とされる項目は下記の4つです。
- 賃貸物件を借りるための諸費用(敷金・礼金・不動産の仲介手数料など)
- 備品購入費用
- Webサイトなどによる広告費用
- 設備費用(PC・その他業種に応じた必要設備など)
テナント代などの設備投資が必要な事業は、開業資金がほかよりも多く発生する傾向にあります。
反対に無店舗型、あるいは在宅で行う事業の場合は比較的低コストで済みます。
開業資金を算出する際は、自分で始めようとする事業から考え、どの項目が本当に必要なのかを逆算するのが大切です。
また、開業資金に加え、当面の事業を維持するための「運転資金」を確保する必要があるので、約3ヶ月分の運転資金を目安に確保しとくと良いでしょう。
起業するにあたり資金を借りるためのポイント
起業をする際に、ビジネスローンでの資金調達を検討する方も多いでしょう。
ここでは、ビジネスローンを利用する際のポイント5つを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 必要書類の準備
- 申し込み方法
- 現在の状況に合ったビジネスローンを選ぶ
- 税金・ローンの支払い
- 審査後の準備
必要書類の準備
ビジネスローンを借りる際には、さまざまな書類が必要です。
しかし、せっかく来店したのに必要書類が不足していては、二度手間になってしまいますよね。
少しでもスムーズにビジネスローンを借りたい方は、事前に必要書類を確認するのがおすすめです。
本人確認書類や所得証明書、事業状況の確認書類など、金融機関によって必要な書類は異なるので事前の確認は必ず行いましょう。
また、開業したばかりで事業状況の確認書類が用意できないという方は事業計画書、収支計画書などが必要になります。
不安な方は、利用するビジネスローン会社に問い合わせしましょう。
申し込み方法
近年、ビジネスローンの申し込み方法は店頭、郵送、電話、FAXなど、さまざまな方法がありますが、中でもおすすめなのがインターネット申し込みです。
申し込みフォームから必要事項を記入していくだけで完了しますし、必要書類もアップロードして送信するだけなので簡単です。
24時間365日いつでも申し込みが可能なので、スピーディーな借入先なら1時間程度で審査が完了する場合もあります。
起業したてで、少しでも早くビジネスローンを借りたいという方には非常に便利なサービスです。
現在の状況に合ったビジネスローンを選ぶ
比較的審査に通りやすいビジネスローンですが、必ずしも審査に通るわけではありません。
ネットの口コミやホームページの情報を全て鵜呑みにするのではなく、起業したてでもビジネスローンを利用しやすいのかを自分自身で確認しておきましょう。
業歴が2年以上や決算2期を終えていることが条件など、ビジネスローンの中でも最低条件がいくつか定まっており、それらの条件も会社ごとで異なるのです。
これらの条件を事前確認し、現状に適したビジネスローンかの判断をしましょう。
税金・ローンの支払い
未納の税金やローンが残っている場合は、ビジネスローンの申請をする前に返済しておくのがおすすめです。
理由は、返済することで審査が通りやすくなるからです。
ビジネスローンの中には納税証明書が不要な場合や税金の未納・滞納があっても審査に通る場合があります。
しかし、すべての金融機関が上記に該当するわけではなく、とくに起業したての方はより厳しく審査される可能性が高いです。
そのため、これらの不安要素はできるだけ序盤で取り除いてから審査を受けるようにしましょう。
審査後の準備
ビジネスローンの申し込みは必ず審査に通るというわけではありません。
とくに起業したばかりの場合は審査に落ちる可能性も考えておく必要があります。
万が一ビジネスローンの審査に落ちた場合を想定し、次に資金を借りるための準備をしておきましょう。
銀行系の審査が落ちたなら貸金業者、低金利の業者がだめなら高金利の業者、または投資家、ビジネスパートナーを探すなど、ひとつのビジネスローンにこだわるのではなく、さまざまな選択肢を用意しておいてください。
ビジネスローンのメリット
ビジネスローンには、以下のようなメリットがあります。
- 審査基準が優しい
- 担保・保証人なしでも借り入れ可能
- スムーズに融資が受けられる
これらのメリットは、ビジネスローンが他の資金調達の方法よりも優れている点ですので、ぜひ参考にしてください。
審査基準が優しい
ビジネスローンは審査基準が優しく通りやすいというメリットがあります。理由は、そもそもビジネスローン自体、銀行の融資が受けられない中小企業などに向けた金融商品として誕生したものだからです。金利は高いですがその分、審査基準は下げて借りやすくしているのです。
手間も少なくスピーディに融資を受けられるのがビジネスローン最大のメリットなので、急を要する場合はおすすめですね。
担保・保証人なしでも借り入れ可能
ビジネスローンは、原則として無担保・無保証での融資が可能です。中には不動産を担保にする商品や、売掛債権を担保にする業者などもありますが、多くの金融機関では担保も保証人も必要ありません。
中小企業や個人事業主には、「事業所や店舗は賃貸で、担保にできるような不動産がない」「保証人になってくれる人がなかなか見つからない」というケースも多いでしょう。
そんな場合はビジネスローンに融資を申し込むといいでしょう。
スムーズに融資が受けられる
ビジネスローンは、総じて審査にかかる時間が短く、一般の融資に比べてスムーズな借入が可能です。
ノンバンクの商品には「最短即日」のものが多く、銀行のビジネスローンの中にも、即日融資に対応している商品があります。
これに対し、日本政策金融公庫の融資は、審査完了までに3週間前後、口座にお金が振り込まれるまでにはさらに1〜2週間前後かかってしまいます。銀行融資の場合も、日本政策金融公庫と同等か、それ以上の時間が必要です。
ビジネスローンなら、最短即日、遅くとも5営業日ほどで融資が受けられるため、急な資金調達にも適していますよ。
ビジネスローンのデメリット
ビジネスローンにメリットがある一方、デメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
- 高金利
- 今後の融資に影響が出る可能性も
高金利
金利は返済負担に直接的に関わる要素ですが、ビジネスローンの金利は銀行融資などと比べると高い傾向にあります。
銀行から事業融資を受ける場合、1%〜2%程度といった低い金利設定で融資を受けられるのに対して、ビジネスローンの場合は1%〜14.0%程度が相場です。
低金利での融資を検討している方は、ビジネスローン以外の選択肢を検討しましょう。
今後の融資に影響が出る可能性も
ビジネスローンを検討している中小企業や個人事業主は、最終的にノンバンクから借入れることが多いと思われます。
しかし、ノンバンクからの借入は、今後ほかの金融機関で融資審査を受ける際に悪影響を及ぼす恐れがあるのです。
ビジネスローンに限らずそもそもノンバンクから借入をする企業は、銀行や公的機関からの融資を受けられなかったケースや審査に落ちたケースが多いです。つまり、事業状況が悪いと判断されたことになります。
今後、銀行や信用金庫、日本政策金融公庫などから借入をする際に、ノンバンクからの融資歴があると「この会社は資金繰りが悪い」と判断され、審査結果にマイナスに影響する可能性があります。
また、ビジネスローンは高金利というデメリットがあるため、返済が大きな負担になると予想され、その点もマイナス要素になってしまいます。
企業がどこから借入をしたかは、決算書の借入金内訳に記載されるため、銀行などに審査書類として提出した際に判明するでしょう。
将来的に銀行や公的機関からの融資を希望する方は、ノンバンクでの借入には注意してください。
まとめ
今回は、起業の際のビジネスローンに関して紹介しました。
ビジネスローンにはさまざまなメリットがありますが、反対にデメリットも存在します。資金調達の際は、将来の事業も見据えて検討するようにしましょう。
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